時をかける少年 ー 風 are you? ー
SexyZone菊池風磨くんの2016年夏のソロコンサートがとても素敵だった。感想を書き上げられないまま冬が来てしまったけど、どうしても忘れたくないから、今さらだけど書き残しておく。*1
Summer Paradice 2016
風 are you?(菊池風磨ソロ公演)
2016.8.11〜16
【目次】
公演レポート:アルバムには残らない
※【 】←このカッコ内は風磨の英語ナレーション部分の日本語字幕の内容です。ニュアンスで。
照明が落ちるとストーリー仕立てのオープニング映像から開始。
【街をほっつき歩いて、あてもなくクラブに入り浸っていた。何もかも分からなくなる。家族も、友達も、恋人も。音に身を委ねる。鏡の中の相手に向かって問いかける。
『Who are you?』】
・It's Going Down!
真っ白に光るスクリーンの前に風磨が登場。スクリーンの光で逆光になり、シルエットだけが浮かび上がる。サビでJr.6名が登場。
7人でガシガシ踊る。強い。
・Party up!
・雨傘
スタンドマイクで歌う風磨。樹がギター(お兄ちゃんのお下がりのド派手な柄のエレキ)、慎太郎がドラム。
【頭の中にガキの声がこだまする。そういえば昔の自分はこんなふうに、耳につく声だった気がする】
子ども時代の風 are youメンバー役のチビジュが登場。
北斗「好きな人くらい教えろよ、風磨ぁ!」
風磨「そういう北斗は言ったのかよ」
北斗「慎太郎が『好きな人の名前言うか一発芸しろ』って言うから、無理やり言ったよ」
樹「言えよ風磨!俺ら親友だろ!(風磨の手を握ってピース)ヤーマン!」
風磨「てーかさ、樹も言ってないじゃん。言えよ!」
樹「えー、だる…」
慎太郎「じゃあせーので言えよ!風磨と樹の好きな人までー、3、2、1!」
風磨、樹「「せーの、」」
二人が息を吸い込むと同時に暗転して流れ出すイントロ。
・Lovin'U
樹が青いアコギを抱え、ピックを咥えてイントロのアルペジオを弾く。2人掛けソファに座って歌う風磨。慎太郎はカホン。ヨコとかがたまに叩いてる箱みたいなやつ。
・アイナルホウヘ
風磨がチビジュ一同と一緒に踊る。かわいい。風磨のステージでは風磨がスターだよ。
・YOUR STEP
風 are youメンバーとその幼少期を演じてるチビジュがコンビになって踊る。おっきいのとちっちゃいので同じ衣装着ててかわいい。樹とちび樹役のヴァサ渉はずーっとアイコンしてるし樹が渉の肩に手置いたり頭ぽんぽんしてたりしてすごくショタコン。ステージ前方にみんなで集まって左右に揺れるところではお互いに押し合うし、一列になって踊るときにもちょっかい出し合ってるしわちゃわちゃが止まらない。
・My Lovin' Season
風磨「俺の好きなフレーズ、歌って!」と言ってCメロの「♪潮の香り〜」でマイクを客席に向ける。
・コント
学校コントとオーディションコントの2種類を公演ごとに交互に披露。長いので概要のみ。
学校コント:風磨が先生で6人が生徒。慎太郎と原ちゃんは女子。
オーディションコント:風磨が審査員で6人がアイドルのオーディションを受けに来る。
・Fight All Night
コントからの流れで、風 are youメンバーとチビジュがバトりながら歌う。風 are youが赤衣装でチビジュが青衣装だし、照明も赤と青だし、確かにFight all nightの正しい使い方ではある。膝立ちになって渉に胸ぐら掴まれる樹の図が面白い。
・SUMMARY
デレレッ!デレレッ!デレレレッレレーー!!スクリーンにはセクゾのSUMMARYの映像が流れる。ステージ前方に一列に並びおもむろに服を脱ぎ上半身裸で踊り出すチビジュ一同。確かにSUMMARYの正しい使い方ではある。そして風 are youメンバーは浴衣姿で登場。チャッラい。チャッッッッラい。途中で登場するギターの小川氏に至ってはなぜか上裸に短パン。そして前年度と同様のエアサークルフライング。おもむろに背後から小川氏に近寄り小川氏の乳首を弾く風磨。最後はJr.を一列に並べて風磨が「SUMMARYは歴史ある曲なんだから!ふざけるのだめだから!」と説教し、誰か一人を選んで肩ポン。風磨に指名された人が一発芸をやらなければいけないシステム。
・言葉より大切なもの
風磨「ここにはー?」客\あるからー!/ ラップは風磨と樹の掛け合い。
・MC
中央に2人掛けソファがあって、サイドに一人掛けの椅子が5つ置いてある。ソファに座る風磨以外のメンバーは毎公演座る位置が違うのが楽しい。内容については死ぬほど長くなりそうなので後日別記事にまとめます。
風磨「次に歌うのはNEWS兄さんの曲です。特別に歌っていいって許可をいただきました」
・恋を知らない君へ
スクリーンでは時かけのダイジェスト映像が流れる中、浴衣姿でスタンドマイクに向かいこの曲を歌う風磨は夏のど真ん中にいるみたいであまりにも眩しい。曲の最後に「夏も、恋も、持っていく」って微笑むのは、よりによって時かけ放送直後のこのタイミングで、ずるすぎる。
・FLASH BACK(森継、原、目黒)
On&on&on...のところがめっちゃ好き。
・内容のない手紙(北斗)
クリエではサビだけだったけど今回はロングバージョン! 真っ白の衣装が王子様みたい。キラキラ。
・V.I.P(樹、慎太郎、途中から風磨)
パリピの極み。チャラい。本家はあんなにも爽やかなのにしんじゅりが歌うと歌詞が全部下ネタに聞こえる。
・rouge
白幕に女ダンの影が映り、風磨と一緒に踊る演出。
・But…
風磨とJr.6人。
【俺は何になりたい? 昔の自分は今の自分に、どうなってほしかっただろう】
ちび風磨、ちび樹、ちび慎太郎が登場。
風磨「あー、作文だりー」
慎太郎「樹の夢は何なんだよ?」
樹「大スター!ラップやって、かっけーダンスやって、ガンガンバイブス感じさせんだよ!」
風磨「誰にだよ」
樹「オーディエンスだよ!」
慎太郎「やばくね!? アメリカンドリームじゃね!? 俺もやりたい!」
樹「風磨も一緒にやろうぜ!」
風磨「俺はいいよ…」
樹「そう言うなって! アメリカンドリーム!」
ステージ上に現れた小さなテーブルの上にはショットグラスが2つ。風磨と樹がそれぞれ手に取ると「Cheers」とグラスを軽くぶつけ、腕をクロスさせて飲み干す。グラスをテーブルに置くと同時に流れ出すイントロ。
・ALL OR NOTHING(風磨、樹)
赤や緑のバチバチした照明の中でサングラスをかけた風磨と樹が歌う。こんなふまじゅりが見たかった大賞2016受賞おめでとうございます。樹にがっつり歌パートがあるのが貴重だし、樹にじゃれつくように一緒に踊る目黒の大型犬感がすごい。曲の最後に風磨と樹が手を握ってピースするのが、先ほどちび風磨とちび樹が「ヤーマン!」ってしてたのと同じポーズ。
・愛ing(風磨、慎太郎)
慎太郎と風磨が超ぶりぶりな感じでキュートに歌い踊る。慎太郎は公演によってハーフツインテールしてたりする。原目黒森継樹も出てきてみんなで踊る。
ちび風磨、ちび樹、ちび慎太郎が登場。風磨は愛ingの最後のポーズをとってる。
風磨「…って、何だよこれ!樹はノリノリだろ!」
樹「指だけはさすなって言っただろ!先端恐怖症なんだよ!」
(ここの他の会話がメモとれていない…)
・Loveless(風磨、樹、原、目黒、森継)
・36℃
樹がアコギ、慎太郎がカホン。
・FaKe
風磨に向かって伸びてくるレーザー光線を樹と慎太郎がせき止める。
・Wait For You
小型の手動レーザーをみんながそれぞれ手に持ってて、レーザーを操作しながら歌う。みんなで跳びまくる。とてもパリピ。
・リリック
樹がエレキギター、慎太郎がドラム。
・Oh Yeah!
紙吹雪が舞う中でタオルをぶん回す。これもはや風磨ソロのテーマソングでは。
【自分の環境が暖かくて、柔らかくて、優しかった。人生も捨てたもんじゃない。また会いにくるよ。次はガキができたときにでも。そのときはいろいろ教えてやってよ】
【ちょうど今くらいのときだった。あの場所で、俺は一人で泣いていた】
ちび風磨が一人でしゃがみ込んで泣いている。そこにやってきてちび風磨の写真を撮る大人風磨。
風磨「いいねー、いい感じの悲壮感出てるよ。こっち向いてみ。(カシャッ)はい、いただきー。ほら、これやるよ」
ちび「なに? それ」
風磨「カメラだよ。俺がお前くらいの年のときに、俺くらいのお兄ちゃんからもらったんだ。これやるから、泣きやめよ」
ちび「いいの?」
風磨「いいよ。友達、家族、大切な人と一緒にいるとき、残したいその一瞬を、お前なりにそのカメラに残しな。ほら、友達にでも自慢してこいよ」
ちび「お兄ちゃん、ありがとう!」
カメラを手に、駆け足で去ろうとするちび風磨。
風磨「…あ、風磨!」
ちび「なに?」
風磨「みんなによろしく」
ちび「うん! ……あれ? あのお兄ちゃん、なんで僕の名前知ってたんだろう…。ま、いっか!」
客席にカメラを向ける風磨。「ハイ、チーズ」
・Tw/Nty
風磨の子どもの頃〜現在の写真、それから風 are youメンバーで決起集会と称して海に行ったときの写真が次々スクリーンに映る。
風磨が一人で登場。
「今回のタイトルは『風 are you』。テーマは『自問自答』です。学生、アイドル、役者、アーティスト…いろんな顔を持ってるけど、自分って何なんだろうって、自問自答しながらこの公演を作ってきました。ここにいる皆さんにも、いろんな顔があると思います。本当の自分って誰なんだろうって、思うこともあると思います。でもいろんな顔を持つっていうことが、社会で生きていくってことです。僕はずっと、嵐になりたくて。どうやったら嵐になれるかを自分なりに考えた結果、今このステージに立っています。でも、今の夢はちょっと違っていて。今僕は、SexyZoneになりたいと思っています。僕が小さいころ『嵐になりたい』と思ったように、僕もいろんな人に夢を与えられる存在になりたい。
みんなも自信を持って、日々楽しく生きてほしいなと思います。小さいころの自分が夢見た自分、それが今の自分です。みなさんもそうです。『自分なんか』って思うんじゃなくて、自分に自信を持って、これからも一緒に歩んでいきましょう。
次に歌う『…more』は、僕が作詞作曲をしました。日常の中に溢れてる愛について書きました」
・…more
風磨が歌う周りで、6人が一人ずつ出てきて踊る。森継→樹→慎太郎→原&北斗→最後に出てきた目黒は女ダンとシンメで踊る。最後は風磨をセンターにして、7人がV字に並ぶ。
【ここにいらっしゃるあなた方には、魔法がかかりました。
そう、あなた方は今、10年後、20年後から帰ってきたのです。
ここを出たら、もう悔いがないように、あなただけの道を歩めるように。
同じ今日を生きるあなたに、幸あれ】
先ほどまで7人が立っていた場所には、小さい頃の7人が立っている。大人の7人と全く同じ立ち位置で、同じポーズで。
【 “風 are you?” 】
【 “I'm ーー” 】
(EC)
白Tに白パンツの7人が蛍光色のペンキで遊んでいる映像からスタート。映像の中で着ている衣装のまま登場。
・Hello
・BANG!BANG!バカンス
アンコールの最後に風磨が風 are youメンバーを一人ずつ紹介していって、最後に紹介された樹が「そしてこいつ!菊池風磨ー!!」って言うのが誇らしい。
(WEC ※オーラスのみ)
・SexySummerに雪が降る
感想:時をかけて、魔法をかける
●昨年との比較 物語から、生身の人間へ
2年目のソロコン、となるとまず「去年と比べて」という話題になる。私は去年の「風 is a Doll?*2」の、怪盗団をテーマにストーリー仕立てにしたコンサートが大好きだったから、今年はハードルを上げに上げて行った。いやもー、今年はどんな世界を見せてくれるのふうまちん! 去年を超えるのは大変だよ! って。
そうしたら、私が求めていたものと全く違う角度から、全く違うものを差し出された。今回はもっともっと生身の菊池風磨でぶつかってきた。世界観や設定で武装せずに、むしろ自分自身をさらけ出して、菊池風磨のそのままでステージに立っていた。全体としてのストーリーはあるし、ドラマのオマージュのような演出も含まれていたけど、あくまでも風磨くん自身が「自問自答」していた。乱暴な言い方をすれば、ストーリーをつくるだけなら誰にでもできる。でも自分自身の戸惑いや迷い、それに対する答えを見つける過程を人前でさらけ出すのは簡単じゃない。
●“時をかける”演出
風磨くんが「自分は何者なんだろう?」という問いに対する答えを探る過程で、過去の自分を思い出すように小さいころの自分たちが登場したり、最終的に風磨くん自身が時間軸を行き来したりする演出がドラマ「時をかける少女」を思い起こさせる。それも単純に幼少期の回想シーンを入れるだけではなく、伏線を張り巡らせて、過去と今のつながりが丁寧に描かれている。例えば小さい頃の樹が先端恐怖症っていう設定とか、確かに樹はよく先端恐怖症って言うけどそんな設定つけても樹担しかわかんないだろ! みたいな。他にも、小さい頃の風磨と樹が手を握ってピースしてヤーマン!って言うのと同じポーズを大人の風磨と樹が『All or nothing』の最後にやるとか。ショットグラスでテキーラ傾ける曲の最後にだよ。どえらいパリピに成長したもんだな! そういう細かい描写が、一回見ただけじゃ全部拾いきれないのがもどかしいくらいだ。特に本編の一番最後は、風磨くんをセンターに7人がV字に立って暗転して、次に照明がつくときには小さいころの7人がそこにいる。立ち位置もポーズも、さっきまでそこにいた大人の7人と全く同じ。風磨くんが言う「小さいころの自分が夢見た自分、それが今の自分です」を、視覚に訴えてくれる。
そして最後には、素敵な魔法をかける。「ここを出たら、もう悔いがないように、あなただけの道を歩めるように。同じ今日を生きるあなたに、幸あれ」。ただ時間を行き来するだけではなく、そこにちゃんと風磨くんのメッセージが込められている。
●個性豊かすぎるメンバーたち
風磨くんについては言及するまでもないとして、風 are youの6人のJr.たちもずいぶん個性が強い。風磨会の幹部であり去年のソロコンサートにも参加していてMCでは風磨くん以上によくしゃべる樹、とにかくやんちゃでパワー系のダンスが迫力満点な慎太郎、一見大人しい優等生に見えるものの踊れば色気をばんばんに放ちMCではボケるわツッコむわの北斗、イジられキャラで目黒が大好き(風磨公認)だけどひとたび踊ると男らしい面を見せる原、大人っぽいパフォーマンスとは裏腹に末っ子感と大型犬感がかわいい目黒、見た目は無愛想そうなのにしゃべるとゆるいノリが面白くて淡白なパフォーマンスが癖になる森継。去年のメンバーもそうとう楽しかったけど、今年もみんな魅力的すぎて目がいくつあっても足りない! 風磨くんはどうしてこうも面白い人員を集められるんだろう。
そんなメンバーについて、8/16最終公演の本編最後の挨拶で風磨くんはこんなふうに語ってくれた。
「最後だからいいかな。余談ですけど、今回のコンサートについてくれたメンバー。北斗はジュニアの頃から一緒にやってて、こういう形で一緒にステージに立つのは複雑なんだけど、でも嬉しかったし、楽しかった。慎太郎はジュニアのボスで、こえーって思ってて。3つくらい年下なんですけど。そんな慎太郎も踊りすげーうまくて、アクロバットもうまくて。すげーなって改めて思いました。森継は同期で、今まであんまり絡む機会がなかったけど、今回絡んで、外見と違ってアツくて。この前一緒にメシ行ったら、『すげーこのライブ楽しい』って言ってくれて、嬉しいです。原くんは、個性が強い(笑)。すごくおもしろい。イジラレキャラだけど、イジラレキャラっていうのは本当にいい奴で本当に面白くないとできない、素晴らしい役回りだから。尊敬してます。目黒は、いっつも俺に振り付け入れてくれて。ドラマがあったから、俺は遅いスタートだったんだけど、何度も丁寧に教えてくれて、嬉しかった。原と目黒はジュニアの頃から知ってるけど、いつも二人で振りの練習してて、二人の関係性は素晴らしいなって思います。今でも同じステージに立ってるっていいな。ちょっと嫉妬します。で…最後かな。樹は、今回のライブが決まったとき、一応前回のメンバーに全員連絡して。『今年もソロコンサートやることになった』って話して。Love-tuneはLove-tuneができたし、SixTONESもSixTONESがあるしどうなんだろうって思ってたんだけど、樹だけは『どんな形でも、お前と一緒にステージに立ちたい』って言ってくれて、嬉しかった。今回出れるはずだったけど出れなくなったやつもいて。タイミングが合わなかっただけなんだけど。そいつもエール送ってくれて。大切な仲間です。」
●ひと夏でつくられる人間関係
そんなメンバーと風磨くんがつくる人間関係がとても好きだ。去年も同じことを思った。ソロコンの公演期間は1週間弱、リハーサルが始まるのは1、2カ月前だろう。風磨くんが集めたメンバーでその期間を一緒に過ごし、いつしかひとつのチームのような形ができあがる。あるプロジェクトのもとに集められ、目的が終わったら解散するようなビジネス的な動きのはずなのに、なぜかそこが見る人を惹きつける。それに公演初日を迎えるころには、みんな菊池風磨のことが大好きになってしまっているのだ。そのころにはもうみんなが「終わりたくない」と思ってしまっていて、それでも終わりは来るから、せめて今を全力で楽しもうとしている。そういう熱量が、公演を見ていてびしびしと伝わってくるから、見ている側も彼らのことが大好きになってしまうのだろう。
風磨くんのつくるソロコンサートは、『My Lovin' Season』の歌詞そのものだと思う。
潮の香り 星空 つなぐ手と手ほどいて
地平線 その先 新たな季節へ それぞれ
(My Lovin' Season/菊池風磨)
夏の間にきらきらした思い出を山ほどつくりあげて、夏が終わる前にはそれぞれの道を歩き始める。私はこれからも夏がくるたびに、彼らのことを思い出す。